よこはまのボードゲーム屋さん リゴレ

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営業
時間
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トラヤヌス 【制作日誌&舞台裏】

2021年10月13日
リゴレ制作日誌

※この記事はリゴレによる制作中、制作済みのゲームに関する舞台裏に関する記事です。商品の説明ではありませんので、こういう記事が好きな人だけお読みください。店長の独り言のような日誌です。

ゲームの説明は以下のリンクから読むことができます。
・【シンプルな説明】は→こちらをご覧ください。
・【詳細な説明】は→こちらをご覧ください。

まさしくエキスパート向けゲーム。でも予想外にシンプルであそびやすくて不思議?
トラヤヌス。ローマの偉大な皇帝で、後の世で「五賢帝」と呼ばれた人物の一人。特にトラヤヌスの時代においてローマ帝国は最大の領土をもっていたそうです。

ゲームデザイナーは Stefan Feld さん。上級者向けのゲームを数多く作られるデザイナーさんです。まず遊ぶ前に私が思ったのは「このデザイナーさんのゲームだから相当複雑なんだろうな」でした。難易度が高く、奥が深い。しかし同時に情報量とゲーム内での制限(縛り)が多いゲームを数多く世に送り出しているデザイナーさんです。そしてファンが多いのです。

※代表作の1つは”The Castles of Burgundy”(邦題:ブルゴーニュ) 。

なんじゃこりゃ!これは面白いゲームだ!
トラヤヌスを実際に遊んだのはつい最近です。
私も含めて知人の反応は極めて高く「これは面白い!ルールは多いけど、全体の作りはシンプル。でも思考性は高い。」「イラストも現在のトレンドとは違って味があって大人に響く丁寧なアート!」と良い反応ばかり。同氏の有名な作品は他にもありますが、凄く遊びやすい1つがトラヤヌスなのではないでしょうか。今後もStefan Feld氏のゲームを沢山遊びたい店長ですが、現時点ではこれが個人的にナンバー1です。Feld氏 の作品の”名作かつ入門編”にも丁度良いのではないでしょうか。多分一発で好きになると思います。なんだろう、ゲーム終わった後の充実感が凄い。

ルールが簡単とは言わないけど、やることはシンプルですよ!大人のあこがれゲーム♡


翻訳作業…単語の当てはめ。
古代ローマ帝国が舞台のゲーム。ゲームボードにも現在しない地名が並びます。Britaniaは本当にブリタニアと読むのか?MilitaryLeader(直訳で軍事リーダー)は将軍なのか、軍団長なのか、 レガトゥス・レギオニスなのか?そういったことを本格的な翻訳を始める前に大室氏に監修してもらいながら一緒に考えます。責任感も感じますが、楽しい作業です。大室氏はわざわざローマに関する文献を読み漁り単語の当てはめをしてくれました。リゴレ店長にはない頭脳を持っておられる…。地図は古代ヨーロッパの歴史地図を意識して英語表記、左下端に日本語という表記にしました。カッコいいよ。

”可能な範囲で、やりすぎることなく”調べます。ラテン語読みをするのか、日本の歴史書的な日本語読みをするのか、それを取捨する必要があります。バランスもとります。

説明書のレイアウトとルールの精査
版元さんとこまめに連絡を取りました。ルールで不明瞭な点があれば、連絡をとって明確な回答を得ます。また、自分が遊んで解りにくかった点や、海外のフォーラムサイトで上がっている質問も確認し、版元の担当者とメールのやり取りをします。今回は10数回でしょうか。この段階で、担当者ともやけに仲良くなり、ドイツ人である彼らが日本に遊びに来た際に、私が横浜中華街で食事をご馳走する。という所まで話が進みました。(何をやっているんだろう)ルールには、1.出版元が海外出版社向けに配布する英語ルールと、2.英語圏で実際に販売されたルールを見ます。 通常1が渡されますが、やや不明瞭な記述があり、英語圏流通版との照らし合わせもします。※それに気づくのが遅れDTP作業の今井さんには迷惑をかけてしまう…(お詫びに中華街の中華料理をご馳走させてください)

雑学小ネタ
Trajan(トレイジャン)っていうフォント(書体)ご存知ですか?デザインを仕事にしている方なら見たことがあると思います。なんとこのフォントはトラヤヌスの記念碑に掘られた文字を元にデザインされているそうです。世界最古(2000年前!)のデザインフォント。現在でもハリウッド映画のタイトルロゴにも使われるような美しいフォントです。トラヤヌス帝すげー。勿論このゲームの英語ロゴにも使用されています。

Trajan pillerに書かれた文字 JとQが特徴的  ※画像はパブリックドメインです

スペシャルサンクス


出版に至るまで
ドイツのどっしりしたメーカーHUCH!さんのゲームです。(クリックするとメーカーのページへ移動します。英語です)大きい会社さんなので、相手にされないかしら?とも思いましたが、まずはご連絡。細かい調整に2ヵ月弱が掛かりましたが、こちらの我儘も聞いてもらう形で出版できることになりました。対応してくれた人達も素敵な方ばかりで、メールの最後に「ドイツからあなたの幸せな一日をお祈りしております」と書いてくれます。HUCH!社の寛大な対応に心より感謝致します。また丁寧に対応してくれた担当者さんにも心より御礼申し上げます。(JさんとDさんとPさん、中華街にきたら食事ご馳走しますからね)。日本のゲームファンの方々にもHUCH!社は最高だよと一言お伝えしたい…。

日本語版の制作メンバー
・アイデア豊富で、翻訳&DTPオペレーションの今井惠利さん、
・日本語の正しい使い方に長け、歴史知識のある大室智人さん、
・全体構成と、サマリー制作の指示にリゴレ店長、

という3名を中心に制作を開始しました。おおよそ1か月強の作業でしたが、良いものが出来たと思います。特に今回は修正が多い作業となってしまいましたが、担当してくださった今井さんに感謝申し上げます。素早い作業と明るい性格にとても救われました。ゲームに造詣の深い今井さんはとても読みやすいレイアウトと解りやすい表現を使ってくれました。 中華街にきたら食事ご馳走しま (以下略)

現在活躍中のゲームデザイナーTakashi Saito氏(BrainBrainGames ブレインブレインゲームズ) がWEB上で有志公開されていたプレイヤーサマリーを参考にさせていただきました。また、使用に関しても快く承諾を頂きました。この場を借りて、改めて感謝いたします。 中華街にきたら食事ご馳走しま (以下略)
リゴレ店長のおすすめの氏の作品:ビアヘックス  トリックと怪人

1つのゲームの出版に、沢山の人々への感謝を添えて…。

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